本土爆撃に触れて

 予は元来、米軍の戦略爆撃には決して不同意ではない。予をして米国航空総司令官たらしめば、矢張り日本本土爆撃を決行する。島から島えの飛び石伝いの正攻法なんか、余りにも幼稚である。然し、工業破壊の方法が悪かった。
 人命を多く損せずして、目的を達する方法を考える事が、公法遵奉の精神ではないか。勿論空戦法規はそれでこそ改正を要し、確定を絶対とするのだ。今後の戦法は何か、現下の国際情勢は如何に動きつつありや。
 若しそれ、国民戦意の喪失を目的とする内地爆撃であるならば、予は当法廷で論ずる事を好まぬ。
(482〜483)